不定詞副詞的用法
これまで、不定詞の名詞的用法や不定詞の形容詞的用法についてお伝えしました。
名詞や形容詞がそれぞれどういう物であるか?をシッカリ理解する事によって、理解が一層深くなったと思います。
今回は「不定詞の副詞的用法」についてお伝えしたいと思います。
不定詞の副詞的用法が理解できると以下の問題が理解できるようになります!
Q1:以下の日本語を英訳してみて下さい。
α:アメリカに行く為に彼女はお金を貯めている。
β:彼女はその知らせを聞いて驚いた。
Q2:以下の英文と同じ不定詞の用法を使っているものをA~Dから選択して下さい。
・I went to the postoffice to send a letter.
A: He likes to eat ramen.
B: He went to the park to see his friends.
C: I am happy to see you.
D: I don’t have enough time to cook curry.
E: His hobby is to listen to music.
不定詞の副詞的用法を攻略する為のポイント
不定詞の副詞的用法を理解する為のポイントは以下になります。
・副詞とは何かを理解する。
・不定詞の副詞的用法の場合の日本語訳を理解する。
・不定詞の副詞的用法の位置を理解する。
副詞ってナニ?
不定詞の副詞的用法を理解する為には、まず副詞が何かを理解する必要があります。
副詞は簡単に言うと、名詞以外の言葉を説明できる言葉です。以下に例を示したいと思います。
1.早く 起きる
2.とても 速い 列車
3.かなり ゆっくり 走る
1番の場合、〝早く〟という言葉が、動詞〝起きる〟を説明しています。〝早く〟は動詞を説明する副詞です。
2番の場合、〝とても〟という言葉が、形容詞〝速い〟を修飾(=説明)しています。〝とても〟は形容詞を説明する副詞として使われています。ちなみに〝速い〟は、名詞〝列車〟を説明しています。
3番の場合、〝かなり〟という言葉が、副詞〝ゆっくり〟を説明しています、〝かなり〟は副詞を説明する副詞となっています。ちなみに、副詞〝ゆっくり〟は動詞〝走る〟を説明しています。
このように副詞は名詞以外の言葉を説明できる言葉です。
※副詞の働きや文中での位置について更に詳細を知りたい方は・・
→ 副詞 を参照してみて下さい。
不定詞の副詞的用法の日本語訳は?
不定詞の副詞的用法に関して、英文法書などを読んでみると・・
「~するために」
「~して」
・「~するために」=目的用法
・「~して」は感情用法
などと記されてます。これはその通りで、これを覚えても勿論役に立つのですが、丸暗記しなくても、上記で記した副詞の原理が解ると、和訳は勝手に判るようになります。
以下に目的用法、感情用法の場合の日本語訳について説明したいと思います。
不定詞の副詞的用法-目的
副詞的用法の目的用法というのは、例えば以下のような日本語訳の場合になります。
「私はパーティーに出席するために、ホテルに行った。」
英語に直すと、以下のような形になります。
・I went to the hotel to attend the party.
下線部が副詞的用法で使われている不定詞になります。
先程、副詞の働きの説明の部分で、副詞は動詞を説明できる(〝早く 起きる〟の文です。 ) と記しましたが、ここでは、パーティーに参加する為に という部分が、動詞〝行った〟を説明しています。副詞の働きに合致しています。
和訳を無理に覚える必要はない と記しましたが、動詞〝行った〟を説明する ということになると、自動的に〝~するために〟という日本語になってしまいます。
目的用法の位置
不定詞の副詞的用法の目的の意味(=~するために)で不定詞を使う時は、2つの位置に配置する事が可能です。
例えば、先程の『私はパーティーに出席するために、ホテルに行った。』という文の場合・・
この場合、以下のように英文を書くことができます。
1. To attend the party, I went to the hotel.
2. I went to the hotel to attend the party.
1のように文頭に置いたり、2のように後ろに置く 事が出来ます。 文頭に置く場合は、通常カンマを付けます。
~するために の意味を持つ表現
~するために という目的の意味を明確にしたい時に以下の2つの表現を使うと、目的であるという事が明確になります。
・in order to
・so as to
どちらも 〝~するために〟 という意味で使います。
以下のように使う事が出来ます。
・In order to pass the exam, you have to study hard.
・I got up early so as to finish my homework.
in order to や so as to を使うことによって、以下のような曖昧さがなくなります。
・I bought a book to study English. という英文がある時に・・・
・ to study English の部分を不定詞の副詞的用法と考え・・・動詞〝bought〟を説明していると考えると・・・
『私は英語を勉強する為に本を買った』という訳になります。
一方・・・
・ to study English の部分を不定詞の形容詞的用法と考え・・・ 前の名詞 〝a book〟を説明していると考えると・・・
『私は英語を勉強する為の本を買った。』となります。
ここで目的の意味を表す ・in order to や ・so as to を使うと・・・
・ I bought a book in order to(=so as to) study English. となり・・・・
『私は英語を勉強する為に本を買った』となり、解釈に迷いが生じません。
※〝~するために〟という意味は接続詞を使った構文で表現することも可能です。
不定詞の副詞的用法-感情
副詞的用法の、感情用法の場合、以下のような日本語になります。
「私はあなたに会えて嬉しいです。」
英語に直すと、以下のような英文になります。
・I am glad to see you.
先程、副詞の働きの説明の部分で、副詞は形容詞を修飾(=説明)できる(〝 とても 速い 列車〟の文です。 ) と記しましたが、ここでは、〝あなたに会えて〟=〝to see you〟 という部分が、形容詞〝嬉しい〟を説明しています。副詞の働きの一つである=〝副詞は形容詞を説明できる〟に当てはまっています。
感情表現の位置と感情表現の形容詞
例えば、上の文のように、不定詞の感情表現を置く位置は、〝感情を表す言葉の後ろ〟になります。英会話や英作文で、この用法を応用する為には、以下のような、感情を表す言葉を沢山知っておくことが重要になります。
・happy
・glad
・pleased
・sad
・angry
・excited
・bored
・interested
冒頭の問題解説
Q1
問題α:「アメリカに行く為に彼女はお金を貯めている。」正解は・・・
・She is saving up money to go to America.
・To go to America, she is saving some money.
になります。下線部分を不定詞の副詞的用法〝目的〟で使い動詞を説明しています。副詞=動詞を説明できる というルールに当てはまっています。
β:「彼女はその知らせを聞いて驚いた。」正解は・・
・She was surprised to hear the news.
になります。下線部分が不定詞副詞的用法〝感情〟になっています。形容詞扱いのsurprisedを説明しています。副詞=形容詞を説明できる というルールに当てはまっています。
Q2の問題ですが、正解はBになります。
まず、I went to the post office to send a letter. ですが、これは不定詞の部分が〝~するために〟という意味で副詞的用法の目的用法になっています。
A:の He likes to eat ramen.は不定詞部分が〝~すること〟という意味で不定詞の名詞的用法になっています。不定詞部分が他動詞likeの目的語として使っています。
(※他動詞が良く分からない方は 自動詞 他動詞 見分け方 もう悩まないで! を参照してみて下さい。)
B:の He went to the park to see his friends.は不定詞部分が〝~するために〟という意味で副詞的用法の目的用法になっています。よって正解はBになります。
C:の I am happy to see you.は不定詞部分が〝~して〟という意味で副詞的用法です。形容詞happyを説明する感情用法になっています。
D:の I don’t have enough time to cook curry.は不定詞部分が〝~するための〟という意味で、名詞のtimeを説明する不定詞の形容詞的用法になっています。
E: His hobby is to listen to music.は不定詞部分が〝~すること〟という意味で名詞的用法になっており、補語として使われています。
まとめ
不定詞の副詞的用法を理解するには、まず副詞の働きをシッカリ理解する事が重要になります。それが理解できると、和訳の方法が自動的にわかります。
また、どの位置に不定詞を配置するのか?と言う事が重要になります。
ポイントを抑えたら、英文を読みながら、不定詞に注目し分析してみたり、実際の英会話や英作文で使用してみると、応用自在の知識に変化させることが出来ると思います。